わたいりカウンター

わたいしの時もある

月には月の

かつみれど うとくもあるかな 月かげのいたらぬさとも あらじとおもへば(古今/雑上/880/月おもしろしとて凡河内みつねがまうできたりけるによめる/つらゆき) 先日、転職サイトから応募した会社の一次面接へ伺った。わたしとしては好感触だったが、そういう…

冬の敷物

よもすがら嵐の山に風さえて大井の淀に氷をぞしく(山家集/561/冬歌十首(のうちの一首)) 今日は風が強くて、でもいつもよりはすこし暖かい陽気だった。春の気配がしてきた。 歌を訳すなら「よもすがら嵐の山に風さえて」一晩中嵐が吹く山で風はつめたくて「…

作者未詳

見まく欲り恋ひつつ待ちし秋萩は花のみ咲きて成らずかもあらむ(万葉/巻七/1364/比喩歌/花に寄せる歌七首(のうちの一首)) せっかく採用いただいた会社だったが、仕事内容と環境のハードさ故か、気づいたら左耳が軽い難聴になっていた。続けていくことに気持…

わたしはまだアメフラシを愛用しているよ

脱ぎかへむ事ぞ悲しき春の色を君がたちける心と思へば(和泉式部集続集/34) 出家した人(君)の事を衣替えの時に思い出した歌。「 脱ぎかへむ事ぞ悲しき春の色を」衣替えをしようとするのが、悲しいよ。春の色の(衣を)「君がたちける心と思へば」あなたが着ない…

あったかくしてお過ごしください

まどろめば吹きおどろかす風の音のいとど夜寒になるをこそ思へ(和泉式部続集/6/八月十余日のほどに、夜半ばかりに) 冬なのになんだか最近はあったかい。あったかいけれど、夜はしっかり冬で、だから帰ってきてうたたねなんてしようものなら、起きたときに…

花に問う

故人西辭黄鶴楼煙花三月下揚州孤帆遠影碧空盡唯見長江天際流(黄鶴楼送孟浩然之廣陵/李白) 友人が西の黄鶴楼を出て 花の煙る(ように咲きわたる)三月に揚州をくだり 遠くひとつの帆の影が碧い空に吸い込まれる ただ見ていた。長江が地平線に流れていくのを*1…

親と落語を見に行きました

チェーンの居酒屋で飲むよりも、読めない看板の中華屋で飲んだほうが安くておいしいじゃん! という時期は人生で来がちですね。わたしは最近そうです。今日はじめて行ったお店で、メニューに青島ビールというお酒がありました。 そうです、京都に半年住んで…

□ わたしもあなたもロボットではありません

コミュニケーションが手段になってしまうことはこわい。それは例えば収益化やアフィリエイトみたいな話になればかなりこわい。そう見えないようにするという努力(とか違うおもしろに注意をそらして楽しませようという努力)は、人間の気配があって(そして…

仕事と読み書き

はじめて人がたくさんでてくる寄席に行った。お昼から三時間くらい。落語家さん曰く、夜より昼の方が雰囲気がまったりしていて良いらしい。夜のお客さんは仕事終わりだからか、みんな「落語を見るぞ」と目がぎらぎらしているとか。12月からの仕事もわりと残…

なぜ船は迂回したか

湯羅の崎潮干にけらし白神の磯の浦廻をあへて漕ぐなり(万葉/巻九/雑/1671/大宝元年辛丑の冬十月、太上天皇・大行天皇、紀伊国に幸す時の歌十三首(のなかの一首です)/*1) 「にけらし白」の部分が完全に百人一首二番で*2*3思わずじっくり読んでしまった。…

雪を見て

今日降りし雪に競いて我がやどの冬木の梅に花咲きにけり(万葉/巻八/冬雑/1649/大伴家持) 今日降った雪に「競(きほ)いて」負けじと、我が家の冬木の梅にも花が咲いてきた*1、という歌。読んでびっくりした。確かに冬に降る雪を白梅に見立てる歌はたくさん観…

贈答答答答

「贈答」ということばの「答」の字が、ほんとなら違う漢字なのでは? と思って調べるとこれであってた。「応答」が「こたえる」と読むふたつの漢字でつくられら熟語であるように、「贈答」も「おくる」と読む漢字ふたつで構成されてるのではと錯覚してたらし…

20230908

・味付け失敗最近なすをよくレンチンして食べるのだけれど、味付けがやさしい時は皮を全部剥かないとおいしくないと気づいた。ぽん酢や生姜しょう油の時は残っててもむしろ良い。 ・叙景も前の記事の歌(万葉/八/1598)を選ぶのは、ちょっとチャレンジだった。…

20230808

・ずっと前からpillowsに許してもらっていた、というと少しちがうかもしれないけど、かっこいいと思っている先輩が、かっこいいだけじゃなく弱音も吐いていたから救われてるみたいなところがある。ここんとこ「そんな風にすごしたい」を聴いてる。 ・最近気…

秋の朝

さ雄鹿の朝立つ野辺の秋萩に玉と見るまで置ける白露(万葉/巻八/秋雑/1598/大伴家持) 冒頭歌付近の左注に743年に自然を見て詠んだ歌とある*1。早朝のひと気のなさ、そこへ足を踏み入れるのがなんとなくためらわれる景色に目を奪われた。 白露を玉(宝石)と例…

息を止めるように

わたの底かづきて知らん君がため思ふ心の深さくらべに(後撰/恋三/745/題しらず/これのり) 海の底に潜って確かめてみよう、あなたのためと思う(わたしの)心の深さと(海の深さを)比べるために*1、という歌。 海へ行こうという誘い文句をアクロバティックにす…

葉を落とした冬の木肌

神な月時雨許を身にそへて知らぬ山地に入ぞかなしき(後撰/冬/453/山に入るとて/増基法師) 時雨(しぐれ)は晩秋から冬にかけて断続的に降る通り雨のこと。晩秋に降る時雨は、紅葉を一層紅くさせ、冬になって降る時雨はその紅葉を散らせてしまうものとして、…

4小節

あいさつだけは手を抜かないでたいまつまでは背負うから居て役に立つ権利からは逃げてもまた会う縁に胸張れりゃいい

雲の層 心の層

墨染の衣の袖は雲なれや涙の雨の絶えず降る覧(拾遺/哀傷/1297/題知らず/よみ人知らず) 自分なりに少し崩して訳すなら、「墨染(すみぞめ)の衣の袖は雲なれや」喪服の袖って雲なんすかね、「涙の雨の絶えず降る覧(らん)」(だから)涙の雨がずっと降ってんだろ…

風が秋

秋風は日にけに吹きぬ高円の野辺の秋萩散らまく惜しも(万葉/巻十/秋雑歌/花を詠む/2121/(よみ人しらず)) 訳すなら「秋風は日(ひ)にけに吹きぬ高円(たかまと)の」秋風は日毎に強く吹いた 高円の「野辺の秋萩散らまく惜しも」野辺の秋萩が散ってしまうのが惜…

とけたあとは

春されば水草の上に置く霜の消つつもわれは恋ひ渡るかも(万葉/巻十/春相聞/霜に寄す/(よみ人しらず)) 訳すなら、春の訪れに水草の上の霜が消えていくではないが、消え入るように私は恋い焦がれているなあ*1。 春の景物を詠み込んだ恋の歌。上の句「春され…

夏ごもり

雪ふれば冬ごもりせる草も木も春にしられぬ花ぞさきける(古今/冬/323/紀貫之) この8月は停滞していた。仕事はやんわりシフトがなくなり、歌会も休みで外出の頻度も少なく、これという思い出は……そう、人生二度目の盆踊りへひとりで参加、見知らぬおばさま…

わからないとはわかってて

秋津野に朝居し雲の失せゆけば昨日も今日もなき人思ほゆ(万葉/巻七/挽歌/1406) 朝に漂っていた雲が消えていくのを見るたびに、故人を思ってしまうという歌。 雲が消えることがきっかけで思い出すなら、せめて雲を見ている間はぼんやりと悲しみを忘れられた…

君どう感想

アニメーション映画作品「君たちはどう生きるか」の感想です。既鑑賞者向けです。 アニメーションとして好きだったところ 人力車? から義母が降りるシーン。重心を落として、フッと地面に降りる動作がただただ良かった。緩急の気持ちよさ。後付け的に効果を…

20230708

・現代短歌じゃなくて、和歌とか近代短歌から読み始めたから文語のリズムに無意識に後ろ髪を引かれてしまう(助動詞とかからもそう)という謎の共有を先輩とできておもろかった。 ・五千円消えた五千円消えていた 終電を眺め歩いて忘れたかった ・短歌を紹介…

20230707

・作者が喜ぶためにしか感想が存在してはいけないとしたら、それもあんまり意味のあることじゃないのではと思った。漫画家のインタビュー読んでてそう思って、だから翻って、好きなものを好きと言ったり、できる範囲でしかできていない言語化を、あっけらか…

自分でクーラーつけておいて寒いと思う

夏衣まだひとへなるうたた寝に心して吹け秋の初風(拾遺/秋/137/秋の初めに詠み侍ける/安法法師) 夏の(うすい)単衣を着ているだけのうたた寝には、気を遣って吹いてくれ秋の初風よ、という歌*1。秋の巻の一番最初に置かれている。「心して吹け」と命令形で…

-20230706

・けっこう長い間、自分へのスローガンとして「礼儀正しく、おもしろく」を掲げてたのだけど、ちょっと限界が来ている。次は「願い、責任、冷静さ」とかになるかも。 ・コミックスやお店やクモの終わりに立ち会って、それらはまだあんまり噛み砕けてないから…

16小節

・ ・ ・ ・ ・ ・ しどろもどろ人のこころ ないのかもしれない排除かも消えたい 長いこと寝床だったとこ赤いコーンでもう終わってたよ 潮満ちて干く 日を生きている 海と陸 譲り合っている 全部求めたら狂気の沙汰だな 正直とがめつさ履き違えるな 乾杯せず…

−20230626

ありがたいことに忙しくしていたし、人とあったりもしていた。LIBROの話を当たり前のようにはじめたら、当たり前だよなって聞いてくれたこともあってよかった。当たり前だよなってエリスリジーナの曲をかけられて知ってるよ好きだよってよろこべたりもして、…