わたいりカウンター

わたいしの時もある

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ぬかるみ

Or, by the moon embittered, scorn aloundIn glory of changeless metalCommon bird or petalAnd all complexities of mire or blood.(「ビザンティウム」/ウィリアム・バトラー・イェイツ の一節より)(Byzantium / Willam Butler Yeats) というより、…

青信号は?

水鳥の鴨の羽色の春山の おほつかなくも思ほゆるかも (万葉/巻八/春の相聞/1451)(詞書に「笠女郎、大伴家持に贈る歌一首」) 最近「怪奇!YesどんぐりRPG」というトリオの動画を楽しみにしている。チャンネルではいわゆる賞レースに臨むライブの動画*1も…

音が教えてくれる

ねやの上にかたえさしおほひ そともなる 葉ひろ柏に霰降るなり能因法師(新古今/冬/655) 家でエナジードリンクをたまに飲む。味は好きだけれど、毎日のむとだんだんおいしく感じなくなるから不思議だ。頭で好きと思っていても、内臓の方はエナジードリンク…

晴れてはないけど

はれやらぬみ山の霧のたえだえに ほのかに鹿の聲聞ゆなり (山家集/上秋/300) 昨日すごい決意を固めていた風だったけれど、今日は日がなSplatoon3の体験版をプレイしていた。あんまり外に出られないし、しょうがないけれど、体験版の12時間の制限時間のうち…

滝はずっと流れている

くる人もなき奥山の滝の糸は 水のわくにぞまかせたりける中納言定頼(後拾遺/雑四/1055) 隣の部屋から咳をする音が聞こえる。しばらく外出してはいけない、ということになってしまった。そのせいか、今日一日ふわふわしてやることが手に付かなかった。 歌は…

沈みこむような閉塞感

わたつみとあれにしとこを今さらに はらはば袖やあわとうきなん伊勢(古今/恋四/733) 8月も残りわずか。そういえばもう何年もプールに入っていないことに気づきました。 歌を訳すなら「わたつみとあれにしとこを今さらに」(涙で)大荒れの海みたいになって…

朝戸を開ける理由

言繁み君は来まさずほととぎす 汝だに来鳴け 朝戸開かむ (万葉/巻八/夏の相聞/1499) 末句「朝戸開かむ」の爽やかさが目に止まったのですが、読んでいくうちに「朝戸」開けちゃダメなのでは?と心配になりました。というか、爽やかどころの話じゃないみたい…

船の梶の柄になりたい時

たまきはる命に向かひ恋ひむゆは 君がみ舟の梶柄にもが (万葉/入唐使/巻八/春の相聞/1455) 週末までに恋の歌を集めないといけないので、万葉集の相聞の歌を読んでいました。 冒頭歌は遣唐使ではなればなれになってしまう時に相手に寄り添った歌で、「仕事…

いとはれてのみ

雲もなくなぎたるあさの我なれや いとはれてのみ世をばへぬらんきのとものり(古今/恋五/753) 口を一文字に結んで、目を閉じて、静かに涙を流しているラブコメ漫画のキャラクターの表情を思い起こさせるこの歌。掛詞が痛烈すぎませんか。雲のない穏やかな朝…

寝られないというより寝ない夜

寝ぬ夜こそ数つもりぬれほととぎす 聞くほどもなきひと声により小弁(後拾遺/夏/191) 今日は「21世紀東欧SF•ファンタスチカ傑作選 時間はだれも待ってくれない」高野史緒•編を読み始めた。とりあえず冒頭の二編を読んだところどちらもおもしろかった。 宇宙…

楽しみを目の前に

十月許に、初瀬に参りて侍りけるに、あか月に霧の立ちたるをよみ侍りける行く道の紅葉の色も見るべきを 霧とともにやいそぎたつべき前大納言公任(後拾遺/羈旅/501) 見たかった紅葉が霧で見えないのに、もう出発しないと駄目? と旅先での霧に渋い顔をして…

波をかぶったような

伏越ゆ行かましものをまもらふに うち濡らさえぬ波数まずして (万葉/巻七/譬喩歌/1387) 訳してみても結構意味がわからないのだけれど、だからかついつい気になってしまった歌。訳は「伏越ゆ行かましものをまもらふに」伏越から 行けばよかったのに 様子を…

ほのかでもスポットライト

鶉伏す刈田のひつぢおひ出でて ほのかに照らす三日月の影 (山家集/中雑/945) 「ひつぢ」とは刈ったあとの株にまた生えてくる稲のこと。それが「おひ出でて」生えてきているのを、やさしい光量の三日月が照らす、という歌*1。ほのかであっても月に照らされ…

いつも窓の外の

大宮の内まで聞こゆ網引きすと 網子ととのふる 海人の呼び声(万葉/巻三/長忌寸奥麻呂/238) 囲碁将棋部に所属していたせいか、放課後、校庭から聞こえる運動部の声を教室から聞くことが多かった。 歌は、宮殿の中にまで、網を引くかけ声が聞こえると歌って…

花のかげ2首

今日暮れて明日とだになき春なれば 立たまく惜しき花のかげかはみつね(躬恒集/388) 源氏物語の藤裏葉を読んで「花のかげ」という言葉が気になったので調べていました。 春が過ぎるのを惜しんで、美しい景色の中で動きたくなくなってしまう歌が2首ありまし…

ほととぎすとスマホ

あしひきの山郭公わがごとや 君にこひつつ いねがてにする (古今/恋一/499) スマートフォンに来る返信を待ち遠しく思っている時、ついつい布団の中でホーム画面を何度も確認してしまうことがある。 「いねがてにする」とは寝かねている、眠れずにいるとい…

こわいかお

この動画を見て、画面の前でニコニコしてしまった。ポケモンバトルをご覧になる方はぜひ見てほしい。 例えば伝説のポケモン、ミュウツーのC(とくこう)の種族値は154だ。なのでC100というのは、そこそこやれるくらいの強みでしかないのだが、動画では普段使わ…

暗いだけじゃなくて

ぬばたまのその夜の月夜今日までに 我は忘れず間なくし思えば (万葉/巻四/702)(「河内百枝娘子、大伴宿禰家持に贈る歌二首」のうちの一首です) スマホやモニターの画面は電源がオフになっている時まっくろになりますね。それが明るい周囲や自分の顔を写…

満ちてしまう感情

蘆辺より満ち来る潮のいやましに 思へか君が忘れかねつる (万葉/巻四/617) 今日の夜はスーパーで売っていた串カツを食べました。さらさらしたウスターソースをできるだけ細く、それでいて途切れないように串カツにかけた時のことです*1。かけられたウスタ…

谷に掛かるかずらみたいに

谷狭み峰に延いたる玉葛 絶えむの心わが思はなくに (万葉/巻十四/3507) 歌の核としては「ずっとあなたのことを思っているよ」というよくあるものだけど、表現が独特です。 訳すなら「谷狭み峰に延(は)いたる玉葛」谷が狭いので嶺にまで(蔓を)伸ばしている…

人の知るべくってなにさ!(万葉集の「片糸」歌2/2)

片糸もち貫きたる玉の緒を弱み 乱れやしなむ人の知るべく (万葉/巻十一/2791)*1 片糸、やっぱり気になるんですよね。 手元にあるものでできるだけ調べたところ、万葉集で片糸が詠まれたのは昨日の歌と冒頭の歌だけらしい。用例が少ないので、片糸とはこれ…

「片糸」は片思いか両思いか

糸に寄す河内女の手染の糸を繰り返し 片糸にあれど絶えむと思へや (万葉/巻七/1316) 冒頭歌を読んで、「片糸」という言葉がどんな状況や思いを背負っていたのか考えてみたくなりました。 まず「繰り返す」は何度も巻つける動作を示すそうです。現在使われ…

押韻まどろっこしい

あさぼらけ有り明けの月とみるまでに 吉野の里に降れる白雪 (百人一首/31/坂上是則) 最近「ことばのおばけがまどからみている」*1を聞いて押韻への興味がむくむくわいていた。今日は百人一首31番の母音を借りて、韻を踏める短歌*2を考えていた。歌は感情よ…

虫の話が苦手な方はすみません

あさりすと磯に住む鶴明けされば 浜風寒み己妻呼ぶも (万葉/巻七/雑歌/1198)*1 スーパーで不揃いなすを買った。サイズがまちまちである代わりにたくさん入って安かったのだ。だが切ってびっくり、虫食いがあった。半分に切った時に、中にいたいも虫ごと切…

待っている時

天の川浮津の波音騒くなり 我が待つ君し舟出すらしも (万葉/巻八/秋の雑歌/1529) 発売日を今か今かと待ち望んでいたゲームがある*1。期待する心がありあまって、発売前から公式サイトを毎日かかさず訪問するのがたのしみでした。 歌を訳すなら「天の川浮津…

人目があると

河に寄する絶えず行く明日香の川の淀めらば 故しもあるごと人の見まくに (万葉/巻七/1379) 困っている時、見ず知らずの人に「大丈夫ですか?」と心配されて、素直にその人を頼れる人はどのくらいいるのだろう。私はそう聞かれた時点で申し訳なさで一杯にな…

読みたい巻が見つからないとき

あしひきの山桜花 日(ひ)並べて かく咲きたらばいた恋ひめやも (万葉/巻八/1425/山部赤人) 今日は漫画の整理をしていた。 単行本は紙でよく買っているけれど、本棚の容量には限界がある。入りきらず本棚からあふれた本が、積み上がって塔のように乱立して…

言葉になる前の

題しらずたよりにもあらぬおもひのあやしきは 心を人につくるなりけりもとかた(古今/戀一/480) 小説を読むと元気になる。今日は千早茜『男ともだち』を読んで「生きていくぞ〜」という気持ちなった。具体的な感想が言葉になる前に、まず読んで満足していた…

カワハナガレル

題しらず龍田河紅葉乱れてながるめり わたらば錦中やたえなむよみ人しらず(古今/秋下/283) もし、私がいないほうが世界が滞りなくまわるなら。そんなことを考えるときがあります。後ろ向きですね。 そんな問をたてる時点で、私は「滞りがない」という状態…

心が空になる

陸奥へまかりける人に、扇調じて、歌絵に書かせ侍ける別れゆく道の雲ゐになりゆかば とまる心もそらにこそなれよみ人しらず(後撰/離別 羈旅/1324) 今日は閉塞感と目があってしまって気分が落ち込んでいました。落ち込んでいる時は後撰集が効く気がします。…