音のソノリティという番組がある。6分の放送時間の中で、日本各地で採取した音を聞かせる番組である。
音の傾向はさまざまで、蛙や鳥の鳴き声や、伝統的な祭りの空気感、職人芸に付随する効果音や、農水産物の収穫作業など多岐に渡る。
なかなかニッチ番組だが寝る前に視聴すると、なんだかよく眠れる気がするような、リラックスできる番組であることは確かだ。
そんな音のソノリティという番組を調べていたら、インターネット上で無料でアクセスできる公式アーカイブがあることがわかった。
約900ある記録のうち、スマホ端末からもアクセスできる2015年度上半期のものから、個人的にベスト3を紹介したい。
第3位 #558『寒の水』
https://www.ntv.co.jp/oto/contents/2015/0208/post_41.html
長野県御代田町草越地区で大寒に行われるこの祭りは、氷点下のなか水をかぶって神社まで向かう祭りだそうだ。
音だけのアーカイブにあって、とにかく寒いということが主に人の声から伝わってくる面白い音体験で楽しい。
第2位 #575『和ろうそく』
https://www.ntv.co.jp/oto/contents/2015/0607/post_10.html
岐阜市古川町の「三嶋和ろうそく店」でのろうそくづくりに伴う音。
放送時に伴っていた映像はこのアーカイブではみることができないので、蝋燭を作っているということ以外、なんとなくしか作業の様子がわからないのだが、水音やろうそくを転がすような音は心地よく、映像がなく音だけを収録したアーカイブならではの想像力を試される回。
第1位 #571『大鰐温泉もやしの収穫』
https://www.ntv.co.jp/oto/contents/2015/0510/post_6.html
青森県大鰐(おおわに)市の、350年前から栽培が続いているもやしの収穫の回。
土を掘ったりどかすような音、もやしを洗う水音、さらにはもやしの束を切るような音など、おおよそ聴きごごちの良すぎる音がバランスよく収録されており、#561『ひろっこ掘り』と似たオールラウンドな強さを誇る回。ひろっこ掘りの回は、シャベルが雪を掘る時の金属音が白眉ではあるが、今回は音のバリエーションの観点からこちに軍配をあげたい。