冬の池の鴨の上毛に置く霜の
消えて物思(ものおもう)ころにもある哉
(後撰/冬/460)
冬の池にいる鴨の羽の上の霜がすぐに消えてしまうように、消え入るように物思いにふけっている、という歌。
新しい職場の人たちは皆優しく、そして一癖も二癖もある面白い人たちが多くて、私も埋もれないように日々新しいものを摂りよく考えて行かなければと思う。
そうう意味では、私が悩むとしたら、消え入るように悩むというよりも、消え行ってしまわないように悩むという方向性のような気もする。
けれど、仕事が始まってからうまく和歌を読んで文章を書く時間が取れていないのも確かで、この歌のように部屋の隅で影薄く塞ぎ込むみたいな落ち込みへの道筋もわりと見えているような気がして結構怖い。
冬の寒い日に池を見ると、鴨が元気に泳いでいて、そのはつらつさは羽に落ちた霜がすぐに溶けてしまうくらいだった。冬に塞ぎ込んでいる自分とつい比べてしまうそういうことはこの歌でなくても、あるのかもしれない。