わたいりカウンター

わたいしの時もある

先の見えないことを

佐保河のきりのあなたになく千鳥
 聲はへだてぬ物にぞ有ける
  (後拾遺/冬/390/堀河右大臣(源俊房))

 仕事を覚えなきゃ!そう思って、覚えられたものもあるし、あっぷあっぷもしていた今週。1日に覚えられる新しいことには限界がある。
 勘所を見つけられず、全部完璧にやらなきゃと思ってキャパオーバーで自滅するやつをよくやってしまうのだけど、金曜日の夕方に先輩方に色々教えてもらった。それが局所的なことというよりも、遠くに灯る明かりのようにこだわるべき勘所を教えてくれるタイプの助言で、これならなんとかやっていけそうと思っています。
 
 冒頭歌は、佐保川の霧の向こうに鳴いているいろんな鳥の声は、視界を真っ白に染めて色んなものを見えなくしてしまう霧にも遮られないものなんだなぁ、という意味。
 歌としては、一面真っ白の川霧ののっぺりとした視覚情報の乏しさと、賑やかに千鳥が鳴く聴覚情報の豊かさの対比が面白がりどころの一つなのだと思う。子供の頃、家の周りに霧が出たときにわくわくした気持ちも確かに思い出された。
 けれど、完璧主義的な悪癖を顧みると素直にこの歌を楽しめない自分もいた。漠然とした不安を気にしてしまう感覚は、姿が見えない鳥がたくさん鳴いている状態を面白がるというよりも、追い立てられているように感じさせてしまう。
 考えてみると、この毎日書いている文章だってどう転ぶかわからないまま続けることができてはいる。そこは信じてみてもいいのかもしれない。
 近いうちに、また面白がれるようになっていきたい。