題しらず
たよりにもあらぬおもひのあやしきは
心を人につくるなりけり
もとかた(古今/戀一/480)
小説を読むと元気になる。今日は千早茜『男ともだち』を読んで「生きていくぞ〜」という気持ちなった。具体的な感想が言葉になる前に、まず読んで満足していた。これがいいことなのか悪いことなのかよくわからない。
歌は「たよりにもあらぬおもひのあやしきは」手紙でもない(おぼつかない)思考が不思議なのは「心を人につくるなりけり」感情を人に与えてくることだなぁ、という感じでしょうか。
恋の歌として採られていることを考えると、恋に気づいた瞬間の不思議を歌っていると考えられる。
でも言葉にならないもやもやした思考を辿っていくうちに、自分の感情を指摘されるのは、恋に限らず自分を知る楽しみがある。わかるよ、感情が見つかるのはうれしいよね、と詠者に伝えたくなる*1。
感想がすぐに言葉にならなくても、そのうち必要な時に形になってるのを気づけたらいいのかもと思えた。
*1:これは妄想だが、それを聞いた詠者は「普遍的な感情だと思って歌ったんだから、当たり前じゃん」とか言いながら背中をバンバン叩いてきそう