わたいりカウンター

わたいしの時もある

押韻まどろっこしい

あさぼらけ有り明けの月とみるまでに
 吉野の里に降れる白雪
 (百人一首/31/坂上是則

 最近「ことばのおばけがまどからみている」*1を聞いて押韻への興味がむくむくわいていた。今日は百人一首31番の母音を借りて、韻を踏める短歌*2を考えていた。歌は感情よりも、韻を踏むことにかなり寄ってしまったけれど、ちょっと聞いて欲しい。

墓の前 書きかけの文と散る前に
 土地ごと守り上杉勝つ日

 墓の前で志半ばで死ぬ(ほど追い詰められたが、その)前に、(人も)領土も守り切って上杉氏が勝利を収めた日、という歌。「墓の前 書きかけの文と散る前に」が勝者の歴史特有の誇張表現の雰囲気があるか。*3

カカオ豆ないまぜの「好き」を知る前に
 恋、そのたより埋める近くに

 いろんな「好き」という感情が交ざってしまう前に、もう一度恋を思い出せるように近くに埋めておく、という歌。カカオ豆が「好き」「恋」「埋める」に響いていたら成功だ。なおカカオは日本じゃ育たないらしい。

棚ぼたで有明の海を見る前に
 TOKIOとハモり澄める「三日月」*4

 「有明の海」でかろうじてお台場、フジテレビ感をだして芸能人を出す前振りをしたかった。「棚ぼたで~TOKIOとハモり」でなぜか一般人とTOKIOが「三日月」をハモってる映像が浮かんだなら大成功だ。「有明の海を見る前に」で初めてのお台場でテレビに出た感じが出ているだろうか。それにしても架空の企画が剛腕過ぎる。

朝戸開け最果ての次を聞く風に
 時を戸惑い拗ねるいかづち

 出来るだけ遠くに行きたかったけれど、いかづちが拗ねてしまった。強めの言葉で異次元の白さ、明るさが伝わったなら、百人一首31番の、夜明けみたいに白く光る雪に近づけただけよかった。

 
 考えるのが楽しくて、時間が矢のように過ぎました。短歌すべてで押韻はまどろっこしいけれど、語彙の意外な組み合わせが楽しいです。百人一首に限らず、もし「これは!」というのができたら是非聞かせてください。




*1:

ことばのおばけがまどからみている/重音テト - YouTube

*2:母音がaaoae aiaeouio iuaei oiooaoi ueuiauiの歌

*3:上杉の歴史は全く知りません。すみません。

*4:

絢香 - 三日月 - YouTube