わたいりカウンター

わたいしの時もある

こわいかお



 この動画を見て、画面の前でニコニコしてしまった。ポケモンバトルをご覧になる方はぜひ見てほしい。
 例えば伝説のポケモンミュウツーのC(とくこう)の種族値は154だ。なのでC100というのは、そこそこやれるくらいの強みでしかないのだが、動画では普段使われないようなポケモンの活躍が見られ、企画の面白さに張り合うくらい内容も濃かった。ネタバレは控えるが「こわいかお」というかなりマイナーな特技がいぶし銀の輝きを見せていて、それだけでもう結構楽しくなってしまった。
 
  男のもとより、たのめをこせて侍ければ
春日さす藤のうら葉のうらとけて
 君し思わば我もたのまめ
 (後撰/春下/100)

 でC100にちなんだ企画があんまり面白かったので、いきおい手元にある歌集の100番を見比べていたら、この歌を見つけて、自己開示をすっ飛ばして失敗した苦い記憶を噛み締める羽目になった。
 「うら」は単に葉の「裏」に加えて、「心裡(しんり)」つまり「こころ」のことも意味する。
 それにかけて、「うらとけて君し思わば」心をゆるそうとあなたが思うなら「我もたのまめ」私もそうしましょう、と歌っている。
 歌の前にある「男のもとより、たのめをこせて侍ければ」とは、男が「俺を頼りにしてくれてもいいんだぜ?」というようなことを伝えてきたので、という意味。この歌はその返事として詠まれたことを伝えています*1
 でも相手のことがよくわからないまま「頼ってよ」と言われても困ってしまう。それでこういう歌になったのでしょう。
 意中の相手との関係をもう一押し進めたいのか、それとも面倒な男に絡まれてしまったからあしらいたいのか。この歌を詠んだ時の詠者はどんな顔をしていたのか、考えてしまいました。