わたいりカウンター

わたいしの時もある

心の色は

かつ濯ぐ澤の小芹の根を白み
 清げにものを思わずもがな
 (山家集/下雑/1344)
 
 あらゐけいいちの漫画でピンクをいちごみるく色と形容する回がありました。
 歌を意訳すなら「かつ濯ぐ澤の小芹の根を白み」澤でそのまますすいだ小ぶりな芹の根が白いみたいに「清げにものを思わずもがな」さっぱりと物思いしないでいられたらな、という感じでしょうか*1
 上下の実景・抽象の対比も鮮やかですが、「濯ぐ」という動詞に、おもしろい存在感があります。根の白さは、掘り起こして周りについた土を落としてようやく気づけるもの。自分の心が白いかどうかは、まずその周りにある有象無象の煩悩や雑感のような思考を洗い落として、ようやく気づけるみたいなニュアンスを想像してしまいました。
 何かを達成して喜んでいる時の私の文章というのは、ショッキングピンクのような派手な迫力があって、冷静になって読み返すと顔色が土みたいになりますね。少しでも実感が書けている部分があるのが救いではある。
 雑念を排してもなお、自分の心がけばけばしい色をしていても泣かないで受け止めたいです。