初霜の置かぬだに濃きもみじ葉の
そのさかりをば誰に見せまし
(重之集/24)
昨日今日と外出をしていたのだが、乗り物代をけちって徒歩やら自転車やらを使っていた。そのため太ももが筋肉痛の気配を見せていて、こわくなって帰りがけにサバスを買った。
夜、あまり普段通らない道を通るとおもしろい発見がある。バイク屋など当然閉まっているのだが、そこそこ広い間隔で置かれたスクーター達がこちらにフロントライトを向けていて、それらを白いスポットライトが照らしていた。店の奥は暗く、そのスクーター達にだけ光が当たっていて、思わず写真を撮りたくなった。
けれど、もうこっちの足はへとへとなのだ。一度止まったら走り出すのにまた余計に力を絞らなくちゃいけない。結局、ぼんやりと場所だけ覚えながら通り過ぎたのでした。
歌は冬になりかけの頃、落ちる直前の一番紅いときの紅葉を見つけたんだけど、誰に見せようか、という歌*1。
旅のさなか、通りがけに見つけた絶景を誰かと共有したという気持ちは、簡単に写真の撮れる現代と違って強めの切望を伴っている気がする。それは多くの場合、旅は家族と離れて単身するものだったからでもあるだろうか。
それにしても写真は摂れなかったけれど、あのバイク屋の妙に白いライトは、まるでバイクに霜が降りたように冷え冷えとした雰囲気を作っていたんです。
*1:拙訳