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わたいしの時もある

なほあたらしく

春雨の世にふりにたる心にも
猶あたらしく花をこそ思へ
(後撰/春中/題しらず/よみ人も/74)

 週刊少年ジャンプを毎週読んでるでいるのですが、電子版にしてから特に、全部は読まずに気になる作品だけを読んで満足するようになってしまいました。タイトルも作者名も言えない作品がいくつかあります。よくない。
 歌を訳すなら「春雨の世にふりにたる心にも」この世に年を経てしまった心でも「猶あたらしく花をこそ思へ」ますますあたらしく花を思ってみるよ、という感じでしょうか*1。年を重ねて繰り返す四季。そのはじまりを、何度でもこころよく受け入れよう、という歌で、じんわり勇気付けられました。
 年を重ねるごとに、期待するのが怖くなるなと思います。春をいろどる花も夏には散ってしまう。この歌は暗に、そういうことを全部飲み込んでそれでも花を愛おしむという清々しい宣誓のような気配があります。
 我が身を顧みて、毎週真っ先に高校生家族を読んでしまう短慮を恥ずかしく思いました*2。好きな新連載が例え短期打ち切りになるかもしれなくても、関係ない。掲載順に頭から通して読んで、偶然のアンソロジーの中に、たまに四季の移ろいのような流れを幻視して、あたらしさに期待して、毎週過ごしてみたいと思います。
 

*1:参考:「後撰和歌集新日本古典文学大系

*2:それはそれとして高校生家族は本当に面白いです