わたいりカウンター

わたいしの時もある

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ船は迂回したか

湯羅の崎潮干にけらし白神の磯の浦廻をあへて漕ぐなり(万葉/巻九/雑/1671/大宝元年辛丑の冬十月、太上天皇・大行天皇、紀伊国に幸す時の歌十三首(のなかの一首です)/*1) 「にけらし白」の部分が完全に百人一首二番で*2*3思わずじっくり読んでしまった。…

雪を見て

今日降りし雪に競いて我がやどの冬木の梅に花咲きにけり(万葉/巻八/冬雑/1649/大伴家持) 今日降った雪に「競(きほ)いて」負けじと、我が家の冬木の梅にも花が咲いてきた*1、という歌。読んでびっくりした。確かに冬に降る雪を白梅に見立てる歌はたくさん観…

贈答答答答

「贈答」ということばの「答」の字が、ほんとなら違う漢字なのでは? と思って調べるとこれであってた。「応答」が「こたえる」と読むふたつの漢字でつくられら熟語であるように、「贈答」も「おくる」と読む漢字ふたつで構成されてるのではと錯覚してたらし…

20230908

・味付け失敗最近なすをよくレンチンして食べるのだけれど、味付けがやさしい時は皮を全部剥かないとおいしくないと気づいた。ぽん酢や生姜しょう油の時は残っててもむしろ良い。 ・叙景も前の記事の歌(万葉/八/1598)を選ぶのは、ちょっとチャレンジだった。…

20230808

・ずっと前からpillowsに許してもらっていた、というと少しちがうかもしれないけど、かっこいいと思っている先輩が、かっこいいだけじゃなく弱音も吐いていたから救われてるみたいなところがある。ここんとこ「そんな風にすごしたい」を聴いてる。 ・最近気…

秋の朝

さ雄鹿の朝立つ野辺の秋萩に玉と見るまで置ける白露(万葉/巻八/秋雑/1598/大伴家持) 冒頭歌付近の左注に743年に自然を見て詠んだ歌とある*1。早朝のひと気のなさ、そこへ足を踏み入れるのがなんとなくためらわれる景色に目を奪われた。 白露を玉(宝石)と例…

息を止めるように

わたの底かづきて知らん君がため思ふ心の深さくらべに(後撰/恋三/745/題しらず/これのり) 海の底に潜って確かめてみよう、あなたのためと思う(わたしの)心の深さと(海の深さを)比べるために*1、という歌。 海へ行こうという誘い文句をアクロバティックにす…

葉を落とした冬の木肌

神な月時雨許を身にそへて知らぬ山地に入ぞかなしき(後撰/冬/453/山に入るとて/増基法師) 時雨(しぐれ)は晩秋から冬にかけて断続的に降る通り雨のこと。晩秋に降る時雨は、紅葉を一層紅くさせ、冬になって降る時雨はその紅葉を散らせてしまうものとして、…

4小節

あいさつだけは手を抜かないでたいまつまでは背負うから居て役に立つ権利からは逃げてもまた会う縁に胸張れりゃいい

雲の層 心の層

墨染の衣の袖は雲なれや涙の雨の絶えず降る覧(拾遺/哀傷/1297/題知らず/よみ人知らず) 自分なりに少し崩して訳すなら、「墨染(すみぞめ)の衣の袖は雲なれや」喪服の袖って雲なんすかね、「涙の雨の絶えず降る覧(らん)」(だから)涙の雨がずっと降ってんだろ…

風が秋

秋風は日にけに吹きぬ高円の野辺の秋萩散らまく惜しも(万葉/巻十/秋雑歌/花を詠む/2121/(よみ人しらず)) 訳すなら「秋風は日(ひ)にけに吹きぬ高円(たかまと)の」秋風は日毎に強く吹いた 高円の「野辺の秋萩散らまく惜しも」野辺の秋萩が散ってしまうのが惜…

とけたあとは

春されば水草の上に置く霜の消つつもわれは恋ひ渡るかも(万葉/巻十/春相聞/霜に寄す/(よみ人しらず)) 訳すなら、春の訪れに水草の上の霜が消えていくではないが、消え入るように私は恋い焦がれているなあ*1。 春の景物を詠み込んだ恋の歌。上の句「春され…

夏ごもり

雪ふれば冬ごもりせる草も木も春にしられぬ花ぞさきける(古今/冬/323/紀貫之) この8月は停滞していた。仕事はやんわりシフトがなくなり、歌会も休みで外出の頻度も少なく、これという思い出は……そう、人生二度目の盆踊りへひとりで参加、見知らぬおばさま…