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わたいしの時もある

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

波立つ解釈は違う?

山のまの渡るあきさの行きて居むその川の瀬に波立つなゆめ(万葉/巻七/1122/鳥を詠む) 「山のまの渡るあきさの行きて居む」山の間を飛んでいくあいさ(という川鳥)が行って降り立つ、「その川の瀬に波立つなゆめ」その川の水面に波よ決して立たないでくれ*1…

昔の歌に沈むのは

峰高く鳴き渡るなり呼子鳥 谷の小川の音響(とよ)むまで (為忠家初度百首/98/頼政) 高い峰の上で鳴き続けている郭公(の声)は、谷の底の小川の流れる音に寄り添うまでに響いている*1。 音の位相がきもちいい。それに、わたしはあんまり大きな音は苦手なので。 …

20230427まで

安くて重宝していたスーパーで買ったキャベツが、テープを剥がして外の葉を剥くと悲しい感じになっていた。怒り……は不思議と湧かず、気づけたのかなという自分への悔いとか、そこそこ安く提供するためにはこういうことも起きてしまうんだろうか、と現状をや…

もとの心ばへ

ここで書く文章で紹介するのを、和歌だけじゃなくて小説とか音楽とかにも範囲を広げたり、そもそもただの日記だけの回も作ったりと、筆者と対象の距離や文章感の統一感(連続性?)をちょっと手放そうかなと(元からあったかはわからないけれど、わたしなりに…

冬の歌の温度感

散りかかる紅葉流れぬ大井河いづれゐせき(堰)の水のしがらみ (定家八代抄/巻六/冬/485/大納言経信) 最近は四月の暮れだというのにどうも寒くて、冬の歌を読んでしまった。夏にアツアツなものを食べれば涼しくなるように、冬にヒエヒエのものを食べたらあた…

編者は並のやつじゃあない

宇治川は淀瀬なからし網代人舟呼ばう声をちこち聞こゆ(万葉/巻七/山背(やましろ)にして作る/1135) この歌に限らないのですが、詠まれた景や内容を考えてるうちに急に、以前もこの歌を紹介したのでは?と不安になって書くのを止めることがあります。そんな…

背中を眺めてるとき

古(いにしへ)にありけむ人も我がごとか三輪の檜原(ひはら)にかざし折りけむ(万葉/巻七/葉を詠む/1118/人麻呂) この歌の「古にありけむ人も」昔の人も「我がごとか」私とおんなじようだっただろうか、と昔の人の後ろ姿を共感をもって想像している様子を見て…

いつ音量をマックスにするか

泊瀬川白木綿花(しらゆうはな)に落ち激(たぎ)つ瀬をさやけみと見に来し我を(万葉/巻七/雑歌/河を詠む/1107) 「白木綿花」というモチーフのよさが炸裂している歌を見つけたので紹介したい。 「泊瀬川白木綿花(しらゆうはな)に落ち激(たぎ)つ」泊瀬川(の流れ…

大事な   の心の時間かせぎ

片岡のこの向つ峰(を)に椎蒔かば今年の夏の陰にならむか(万葉/巻七/雑歌/岳(おか)を詠む/1099) 一読して、いやめっちゃ仲いいな?ってなったのですが、理由がよくわからないので考えてみたいです。 まず「片岡のこの向つ峰(を)に椎蒔かば」片岡のこの向こ…

愛される曖昧さは未だない日々

通るべく雨はな降りそ我妹子が形見の衣我下に着(け)り (万葉/巻七/雑歌/雨を詠む/1091) なんか気になる歌っていうのは、共感できるか自分にないものを持っているか、どっちかのような気がしています。今回もそのどちらかでした。 「通るべく雨はな降りそ我…

あたたかくてさびしくて

大き海に島もあらなくに海原のたゆたう波に立てる白雲 (万葉集/巻七/雑歌/雲を詠める/1089) そっけないような、のんびりとしているような、少しだけ寂しいような気配もあるふしぎな歌で、思わず読み返してしまった。詠者の感情がなかなか見えてこないうた…

でも三日月をブーメランにするなら鋭角は削ってほしい

常はさね思はぬものよこの月の過ぎ隠らまく惜しき夕(よひ)かも (万葉/巻七/雑歌/月を詠む/1069) どうもすみません、ご無沙汰しています。最近は最低限の食い扶持を確保したり、料理のレパートリーを増やしたりしていました*1。今年度につきましてはなんと…