わたいりカウンター

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読みたい巻が見つからないとき

あしひきの山桜花 日(ひ)並べて
 かく咲きたらばいた恋ひめやも
 (万葉/巻八/1425/山部赤人

 今日は漫画の整理をしていた。
 単行本は紙でよく買っているけれど、本棚の容量には限界がある。入りきらず本棚からあふれた本が、積み上がって塔のように乱立していた。つづきの巻が読みたくなっても、どこにあるかわからなくなってしまった。
 ブックカバーをつけてもらうと、いつどこで買ったかがわかるのが楽しいし、手触りが均一になって読みやすい。けれど、こうして巻数もタイトルも混沌としていると、ぱっと見てどの本かわからないのは困った。もっとも慣れてくると、カバーの端から見える色やサイズ感で何の単行本かあてる遊びがたのしいので収支はプラスだと思う。書店員さん、いつもありがとうございます。
 歌を訳すなら「あしひきの山桜花日並べて」山にある桜の花が、毎日「かく咲きたらばいた恋ひめやも」こんなふうに(毎日)咲いたならひどく恋しく思うだろうか、いや思うまい、という感じでしょうか*1
 「めやも」は堀辰雄の「風立ちぬ、いざ生きめやも」で知っている人もいるでしょう。
 この歌の核も、儚いから切望するんだ、という歌だなと思います。
 漫画の整理はまだ終わっていません。同じタイトルを集め巻数順に並べても、ひとつとばしになってしまって、読みたい巻が見つからない。
 こういうとき、全巻揃っているときよりも格段にその巻が恋しくなりませんか。
 
 
 

*1:参考:『萬葉集 2』日本古典文学全集