わたいりカウンター

わたいしの時もある

たのしい夜

ぬばたまの今夜の雪にいざ濡れな明けむ朝に消なば惜しけむ(万葉/巻八/冬の雑歌/小治田東麻呂/1646) 「明けない夜はない」というフレーズがなんとなく苦手でした。理由を言い尽くすのは難しいですが、自分が後ろ向きな性格だというのもありますし、「夜の来…

羽にあたる風を思うとき

和田の原八重の鹽路にとぶ雁の翅の波に秋風ぞふく(金槐/秋/海上雁/235) 金槐和歌集は源実朝の歌を集めたものです。 実朝はどうして海の原(わたのはら)を「和田の原」と書いたのか、わからないですが、たくさん言いたいことがあるような気がしますが、そ…

明日も会いたい

一昨日も昨日も今日も見つれども明日さへ見まく 欲しき君かも(万葉/巻六/雑歌/(上略)門部王の家に集ひて宴する歌二首/橘文成/1014) 小学生の頃、毎週友達とジャンプの話をするのが楽しみでした。よく遅刻してきて先生から「社長」と呼ばれていたやつが隣の…

コミニケーション不得手

おほ空をながめぞくらす吹く風の 音はすれども目にし見えねば みつね(拾遺/雑上/450) 今日はひとり飲みに行ったら数年ぶりにあう友人とたまたま居合わせて、小銭を持ちたくないという理由で450円おごってもらうことになりました。 歌は「おほ空をながめぞ…

聞こえる音に思うこと

静けくも岸には波は寄せけるかこれの屋通し聞きつつ居れば(万葉/巻七/雑/羈旅にして作る歌九十首/1237) 夏休みなんかは、よく図書館に行って新聞を読んだり本を読んだりしていました。夏の朝、図書館はほどほどに冷房が効いていて静かです。向かいのテーブ…

たのしい規模

をしなべて峰も平らになりななん山の端なくは月も隠れじかむつけのみねお(後撰/雑三/1249)「5000兆円 欲しい! *1」というフレーズを耳に、いや、目にしたことはあるでしょうか。まるで新装開店するパチンコ屋のチラシに使われそうな、あけすけな光沢感の…

永久の心理なのかしらね

あきのたのほのうへをてらすいなづまの光のまにも我やわするゝ(古今/恋一/547) 証明写真の撮影が苦手です。というのも、まずわかっていてもフラッシュに目を瞑ってしまう。そして頑張って目を開こうとして、でも眉間に皺は寄っちゃいけないし、口元は自然…

まだあたらしかったころ

しろぬひ 筑紫の綿は身につけて未だは着ねど暖けく見ゆ(万葉/巻四/沙弥満誓/綿を詠む一首/336) 最近ちくちくしないセーターの広告を見ます。私は肌がそんなに強くないので、袖の長い肌着なしにセーターを着たことはなく、ちょっと気になっています。そうい…

淀のとなりは

明日香川七瀬の淀に住む鳥も心あれこそ波立てざらめ(万葉/巻七/雑歌/鳥に寄す/1366) 今日は手遊びに坂本九の「明日があるさ」を弾いてたのですが、歌詞があんまり奥手な男子の恋模様で古傷が開きました。そしてそういう(私みたいな)やつは理屈に逃げるもの…

友達んちから帰るとき

ひさかたの天の露霜おきにけり家なる人も待ち恋ひぬらむ(万葉/巻四/相聞/大伴坂上郎女/651) 私が住んでいた地域では、夕方の決められた時間に児童の帰宅を促す放送が流れました。子供の頃はもっと遊んでいたくて鬱陶しかったですが、歳を重ねるにつれてい…

キザなのか優しさなのか

衣手の別る今夜ゆ妹も我もいたく恋ひむな逢ふよしをなみ(万葉/巻四/相聞/三方沙弥/508) 歌を訳すなら「衣手の別る今夜(こよい)ゆ妹も我(あれ)も」袖が離れた今夜からはあなたも私も「いたく恋ひむな*1逢ふよしをなみ」とても恋しく思うだろうね。逢う方法…

気になり出した君に

山深み我が身入りていにし月思ひ出づるは涙なりけり(重之集/167) 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」なら物語が始まるところですが、深い山に入って月が見えなくなるこの歌はラストシーンのような気配があります。また核となる感情もさること…

死んだ変数で繰り返す

はるやくるはなやさくともしらざりきたにのそこなるむもれ木の身は(新勅撰/雑二/和泉式部/1200) そういえばこの間、回転寿司に行ったんですよ。ひとりで。おそるおそるカウンター席に座ると、となりのおっちゃんが長電話しててほんのり嫌な気持ちになった…

1200年以上前に既出

ちはやぶる神の社しなかりせば春日の野辺に粟蒔かましを(万葉/巻三/譬喩/娘子、佐伯宿禰赤麻呂の贈る歌に報ふる一首/404) ああ!それ私もやろうとしてたのに!と思わず立ち上がりそうになったけれど、読めば読むほどいいなあと思ったので今日はこの歌です…

交差点は足跡だらけで

大き海の水底とよみ立つ波の 寄せると思へる磯のさやけさ(万葉集/巻七/雑歌/羈旅にして作る歌九十首/1201) 今日は短歌研究をめくっていたのですが、年の近い人や自分より若い人も歌を載せていて、それがまた「いいな」と思わされちゃったりして心がざわざ…

ちょっと皮肉な

あふ坂の嵐の風に散る花をしばしとどむる關守ぞなき(金槐和歌集/春/67) 今日は雨でずっと家にいました。今も外から雨の音がします。 花が散ってしまうのを惜しむ歌、ではあるのですが下の句が異質で超捗りました。 まず「しばしとどむる」ここまで読んだ時…

一面からじゃ

降る雪の袖にこほりしあしたより振り捨て難きものをこそ思へ (重之集/162) 最近は自分で歌を作るようになった。今日はそれを初めて歌会に持ち込んだ。評価してくれる人もいて嬉しかったが、一刀両断されたい自分もいた。その欲求は後で無事成就して、どう…

鼓動は証

もみぢ葉の色をし添へて流るれば浅くも思えず山河の水よみ人知らず(拾遺/秋/194) 今でこそ、褒められた時*1は努めてその言葉を受け取るようになったのですが、少し前までは「いやいや私なんか」みたいな対応しかできませんでした。 この歌の技巧的に面白い…

融けていくのを待つ

み山木を朝な夕なに樵りつめて 寒さを乞うる小野の炭焼き曾禰好忠(拾遺/雑秋/1144) 今日は一段と寒かったですね。メンタルもつられて弱っていたのか、個人的な信条と正反対のなじりを受けてひどく悲しい気持ちになりました。 歌を訳すなら、朝晩に木を切っ…

命令の裏に

真澄鏡かけて偲へと まつり出す形見の物を人に示すな(万葉/巻十五/中臣宅守/3765) 胸焼けするくらい情念のこもった歌だと思ったら、流罪になった宅守が別れ際恋人に送った歌のうちの一首でした。 「真澄鏡(まそかがみ)かけて偲(しの)べと」とは(あなたから…

はるかぜとともに

花咲かぬ我が宿さへもにほひけるとなりの梅を風や訪ふらむ(重之集/105) 住んでる地域でお祭りなんかがあると、なんとなくウキウキしてしまいます。別に前のめりで楽しみに行くタイプじゃあないのですが、自分の部屋で遠くから聞こえる太鼓の音を聞いては、…

用意された心

風寒み春や来たらぬと思ふ間に山の桜を雪かとぞ見る(重之集/80) この間ハイキューという漫画の公式ガイドブック*1を読んでいたら、作中のフレーズが細菌学者パスツールのスピーチの言葉だったと知りました。調べるとウィキペディアにも「幸運は用意された…

水茎の跡

水茎の跡ふみつけて試みむ思ふところに歩みつくやと (重之集/64) 初読で感じた感情は哀愁でした。重之は相模やら陸奥やら地方へ行き仕事をしていた。要は出張の多い人物だったのですね。そんな重之が水草の茎を「ふみ」踏みしめて、思ったところに足跡を残…

紅葉の代わりに

もみじ葉を寄する網代はおほかれど秋を留めて見るよしぞなき (重之集/35) ペットボトルにときめいたいた時期があります。小学生くらいの時です。本で*1ペットボトルの底に小さな穴を開けてから半分に切って、飲み口を底に向けて嵌め込むと、川に沈めて魚が…

バイク屋の白いライト

初霜の置かぬだに濃きもみじ葉のそのさかりをば誰に見せまし (重之集/24) 昨日今日と外出をしていたのだが、乗り物代をけちって徒歩やら自転車やらを使っていた。そのため太ももが筋肉痛の気配を見せていて、こわくなって帰りがけにサバスを買った。 夜、…

道路に敷いてあるブルーシート

明日よりは若菜摘まむと標めし野に 昨日も今日も雪は降りつつ(万葉/巻八/山部赤人/1427) 乗り物代をケチって大通り沿いを歩いていると、車道の片側一車線が封鎖されていました。 見るとこれから工事が始まるという雰囲気で、メトロノームのように赤く光る棒…

くりかえし

暁の別の道を思はずは 暮れ行空はうれしからまし (拾遺/恋二/726) Splatoonに生活を破壊された、というよりも私がSplatoonで生活を破壊したんだよなと思うわけです。これは懺悔です。悪いのはゲームじゃなくて私なのだ。 更新が滞っている間に、漫画を紹介…

春のイメージ

とふひともなきやどなれどくるはるは やへむぐらにもさはらざりけりつらゆき(新勅撰/春/7) 人の来ない家にも、やってきてくれる春は幾重にも重なった葎をーー、なんでしょう。最後の「さはらざりけり」がすぐに意味を取れませんでした。 最初は、話題に触…

恋のはやさはパワー

shonenjumpplus.com おもしろかった~。猪*1と猿が友達の、野趣あふれる少女が恋をした!? 走り出したら止まらない爆速ほっこりラブストーリー!という感じでした。見開きとか魚眼構図とか、ちょくちょく絵がめっちゃ楽しいんすよ*2。でもやっぱりおすすめ…

二回確認するという自分語り

風をだに恋ふるはともし風をだに 来むとし待たば何か嘆かむ(万葉/巻八/秋の相聞/鏡王女/1607) 男子校の将棋部員だった頃、大会では相手が共学校ってだけで並々ならぬ闘志を燃やしていました。 歌を訳すなら「風をだに恋ふるはともし風をだに」風さえもね、…